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こんにちは 杭本です。
家と一緒に、家族が育っていくプロセス
「ずっと、きれいに大切に使おうね」
お引き渡しの日、まだ家具のないガランとしたリビングで、お客様とそんな会話を交わしたことを今でも鮮明に覚えています。新築の家は、どこを触ってもツヤツヤとしていて、木の香りが鼻をくすぐる、いわば「真っ白なキャンバス」のような状態です。
しかし、暮らしが始まれば、家は刻一刻と変化していきます。
傷は、一生懸命に生きた証
数年後の定期点検でお邪魔すると、あの日あんなにピカピカだった無垢の床に、小さな凹みや傷を見つけることがあります。
「子供がおもちゃを落としちゃって」「トミカを走らせた跡が消えなくて」
そう申し訳なさそうに笑うお施主様。でも、その傷こそが、その家で家族が一生懸命に毎日を過ごし、お子様が元気に育っている何よりの証拠です。
かつての日本では、柱に子供の背丈を刻む習慣がありました。
今の住宅では少なくなった光景かもしれませんが、家の中に刻まれる「傷」や「汚れ」は、実はそれと同じ役割を果たしています。
家族の形に合わせて、家も姿を変える
家族の成長とともに、家の役割も変化します。
お引き渡し当初は、お昼寝スペースだった畳コーナーが、いつの間にかランドセル置き場になり、やがて深夜まで明かりが漏れる受験勉強の場所になる。
「余白」を持って設計された空間は、家族のライフステージに合わせて、その姿をしなやかに変えていきます。
家は、単に雨風を凌ぐための「箱」ではありません。
嬉しい日も、少し落ち込んだ日も、いつも同じ場所で家族を包み込み、その歴史を静かに見守り続ける「無口な家族の一員」なのです。
10年後、もっと「いい顔」をした家へ
建築から10年、20年。
年月を経て飴色に深まった木の柱と、家族の思い出が染み込んだ壁。
新築の時よりも、少し傷が増えた今の家の方が、ずっと愛おしい。そう思える暮らしこそが、本当の意味での「成功した家づくり」なのだと私たちは信じています。
今日ついたその小さな傷も、数年後には「あんなこともあったね」と笑い合える、幸せの足跡になります。
家と一緒に、ゆっくりと。家族の物語を紡いでいってください。