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間取りはどうするのか。
建物と庭を、一緒に考える 家づくりというと、まず「どんな家を建てるか」という建物のことを考える方が多いと思います。
外観はどんなデザインにするのか。 キッチンやお風呂はどうするのか。
断熱性能や耐震性能はどうするのか。 もちろん、どれも大切なことです。
しかし、私たちは住宅の設計を考えるとき、もう一つ大切にしたいことがあります。 それが、「庭や外部空間を建物と一緒に考えること」です。
家は、建物だけで完成するものではありません。
建物の外には、玄関までのアプローチがあり、植栽があり、庭があり、ウッドデッキやテラスがあり、塀やフェンスがあります。そして、窓から見える景色も、その家の住み心地をつくる大切な要素です。
つまり、建物と庭は別々のものではなく、一つの住まいとして考えることが大切なのです。
窓から見える景色も「設計」です 住宅の設計では、窓の位置や大きさを考えることがとても重要です。
一般的には、「どれだけ光が入るか」「風が通るか」といった機能面から窓を考えることが多いと思います。
もちろん、それは大切です。
しかし、もう一歩進んで考えてみると、窓は「外の景色を見るための額縁」にもなります。
例えば、リビングの大きな窓の向こうに一本の木がある。 春には新緑を楽しみ、夏には木陰を感じ、秋には葉の色の変化を眺め、冬には落葉して差し込む光を楽しむ。
それだけで、同じ部屋でも感じ方は大きく変わります。 また、道路や隣家からの視線が気になる場所でも、植栽や塀を適切に配置することで、カーテンを閉め切らずに暮らせる場合があります。
外からの視線を遮りながら、室内からは緑を楽しむ。
こうしたことも、建物と庭を一体として考えるからこそできる設計です。
庭は「余った土地」につくるものではない 住宅の計画では、建物の配置を決めた後に、残ったスペースを庭にするという考え方になってしまうことがあります。
しかし、本来は逆の発想も必要です。 「この場所にどんな庭をつくりたいのか」 「リビングから何が見えると心地よいのか」 「朝、玄関を出たときにどんな景色があると気持ちがいいのか」 「どこに木陰をつくりたいのか」 そうしたことを考えながら、建物の配置や窓の位置、アプローチのつくり方まで決めていく。 そうすると、建物と庭が自然につながっていきます。
「内」と「外」の間をつくる 日本の住宅には、昔から「内と外をつなぐ」という考え方がありました。 深い軒、縁側、濡れ縁、坪庭などです。 完全に室内でもなく、完全に屋外でもない。 その中間にある空間が、暮らしに豊かさを与えてきました。 現代の住宅でも、この考え方は大切だと思います。 例えば、リビングから庭へ続くウッドデッキ。 そこに椅子を置いて、朝のコーヒーを飲む。 子どもが庭で遊ぶ様子を室内から眺める。 休日には庭で食事をする。 特別なことをしなくても、庭が暮らしの一部になります。 家の中だけで生活を完結させるのではなく、外の空間まで含めて生活の場を広げる。
それが、これからの住まいには必要なのではないでしょうか。
「用の美」という考え方 私たちが大切にしている言葉の一つに、「用の美」があります。 美しさのためだけに存在するのではなく、実際の暮らしの中で使われ、役に立ち、長く愛されるものに美しさが生まれる。
住宅にも、同じことが言えると思います。 例えば、軒は単なる外観上のデザインではありません。
夏の日差しを遮り、雨から外壁や窓を守り、冬には低い太陽の光を室内に取り込む。 植栽も、単なる「飾り」ではありません。 日差しを和らげたり、視線を遮ったり、季節の変化を感じさせたり、暮らしに潤いを与えてくれます。 庭を美しく見せることだけを目的にするのではなく、暮らしの中で役に立つ庭をつくる。 これも、私たちが考える「用の美」の一つです。
時間とともに変化する住まい 庭には、建物にはない大きな特徴があります。
それは、時間とともに変化していくことです。 植えたばかりの木はまだ小さくても、10年、20年と時間が経つにつれて成長します。 木の幹は太くなり、枝が広がり、季節ごとに葉をつけ、花を咲かせます。 家も庭も、新築した瞬間が完成ではありません。
むしろ、そこから家族の暮らしとともに時間を重ねていくものです。 新築時には整然としていた庭が、年月とともに少しずつ馴染み、木々が成長することで、その家だけの風景になっていく。 そうした変化を楽しめる住まいは、とても豊かなものだと思います。
建物と庭を、一つの住まいとして 私たちは、住宅を「建物」だけで考えるのではなく、敷地全体を一つの住まいとして考えていきたいと思っています。 建物があって、その周りに庭をつくるのではありません。
建物と庭、アプローチ、植栽、塀、デッキ、そして窓から見える景色。 それらを一つにつなげることで、その家でしかつくれない暮らしが生まれます。 「この家で、どんな時間を過ごしたいか?」 と考えてみる。
庭で季節を感じたい。
朝、緑を眺めながらコーヒーを飲みたい。
子どもが安心して外で遊べる場所がほしい。 休日には家族で庭に出たい。 将来は夫婦で庭を眺めながら静かに暮らしたい。 そんな暮らしのイメージから、家の形や窓の位置、庭のつくり方を考えていく。
それが、私たちが考える家づくりです。
家は、建物だけではありません。 建物と庭がつながり、そこに人の暮らしが加わって、初めて「住まい」になる。
これからも私たちは、建物だけではなく、その土地に生まれる風景や、そこで始まる暮らしまで考えた家づくりを大切にしていきたいと思います。 代表五輪一也