家づくりで大切なのは、施主側と施工側双方の感性が一致すること。教えたり教えられたりの関係の中で、互いのアイデアが最良のバランスをとって形となり、“遊び心”と“手づくり感”満載の住まいになりました。
アイデアを出し合ってプランづくり
家を建てようと思った時イメージしたのは、蒜山に所有している別荘のような「自然に調和する佇まいで、薪ストーブのある和風の木の家。コンセプトも大まかなプランも固まっていて、土地の造成もすでに進行中。どこに施工を頼もうか迷っていた時、おかやま住宅工房さんのホームページを見て「ここだ!と直感、すぐに訪ねました。最初に対応してくださった五輪常務さんの家づくりに対する姿勢や考え方に共感し、施工を依頼。中川専務さんも加わられて、家づくりがスタートしました。
希望したのは、吹き抜けの空間、深い軒、ウッドデッキ、そして、別荘で愛用していたものと同じ機種の薪ストーブ。毎週打ち合わせを重ねましたが、お互いの波長と感性は完全に一致しましたね。出し合ったアイデアが形になったプランはたくさんありますが、一押しはLDKの大開口部に設けた内格子。昔の日本家屋にある「簀戸(すど)」が好きだった私たちからの提案ですが、「こんなアイデアは初めて。我々の発想にはありませんでした」と驚かれて職人魂に火がついたのでしょうか。格子の太さやスパンが絶妙で、外からの視線をさりげなく遮り、白いロールカーテンを下ろせば外からは障子に見えるという、思い通りの内格子に仕上げてくださいました。室内から格子越しに眺める景色も風情たっぷりだし、夜景もステキなんです。
“遊び心”も思い出も巧みに盛り込まれて
さらにうれしかったのは、「こんなものがあるんだけど」「こうしたいんだけど」という、私たちの “遊び心”を真剣に丁寧に受け止めてくださったこと。工事中の変更にも快く応じていただきましたね。設計では角材だった玄関の柱を、叔母が保有していたヒノキの丸太に変えてもらったり、知人からもらった色ガラスを、玄関内外の洗い出しの床にきれいに埋め込んでもらったり。実家にあった古い素材も、「使えるものは使って、思い出もできるだけ形にしてあげたい」という心配りで上手に生かされています。
要望はすべて聞いてもらいましたが、色の調和や素材の組み合わせ方、茶室をイメージした和室のしつらいなどは、五輪常務さんにお任せしました。備中和紙など岡山ならではの素材の使い方はさすがですね。情緒の見せ方もすばらしくて、たとえば、深い軒には樋がなく、雨滴は軒下に敷き詰めた砂利に落ちますが、その情景もまたいい。四季折々、どんな天候でも楽しめる工夫が凝らされているんです。
“遊び心”を入れている内に、当初平屋の予定が一部2階建ての形になりましたが、老後の暮らしにも配慮して、将来的には1階部分だけで生活が完結できるようになっています。キッチン奥のパントリー、勝手口の土間収納などもとても便利。
チームワークで大満足の住まいに
ご縁にも恵まれましたね。棟梁は、偶然にも、幼い頃一緒に遊んだこともある同級生の弟さんでしたし、中学生の娘も中川専務も剣道を一生懸命に習っていることもあり嬉しい共通点が見つかりました。また、ステキなお宅を見つけると、場所を記した地図を渡して見に行ってもらったり、石や瓦の使い方の参考にと、倉敷美観地区を案内してもらったり。施主と施工側という枠を超えてチームのような感じでした。
家づくりが終盤に近づくと庭づくりもスタート。施工は懇意な山本造園さんにお願いしました。日本庭園が専門という庭師さんともイメージが一致し、古い家屋を解体した時に出てきた敷石や井戸などもセンスよくあしらってもらって、予想以上にステキなデザインの庭になりました。
着々とでき上がっていく我が家に早く住みたくて、引き渡し当日に即刻入居。何もかもが本当に楽しい家づくりでした。大満足の我が家の完成はうれしいのですが、終わったあとの寂しさもひとしおですね。